コンピュータの基礎知識の最重要項目、それが「論理演算」です。
コンピュータは、電気信号のONとOFF、つまり「1」と「0」の2つの値だけで動いています。この0と1の世界で、情報処理や複雑な判断を行うための計算ルールが論理演算です。
ITパスポート試験のテクノロジ系では、論理演算の仕組みや、それを使った「論理回路」について必ず出題されます。この分野をマスターすれば、計算問題の大きな得点源となります。
この記事では、論理演算の基本となる4つの演算を、真偽表(真理値表)を使って完全に理解し、過去問に正答する力を身につけます。
1. 論理演算とは?「真」と「偽」の計算ルール
論理演算は、「真(True)」と「偽(False)」という2つの値だけを扱う計算です。
- 真(True) = 1 (電気ON)
- 偽(False) = 0 (電気OFF)
複数の条件を組み合わせることで、コンピュータは複雑な判断を下します。この判断のルールとなるのが、AND、OR、NOT、XORの4つの基本演算です。
2. 基本の3大演算:AND, OR, NOT
1. AND演算(論理積):すべて満たす
AND演算は、「AかつB」という考え方です。入力された条件がすべて「真(1)」である場合にのみ、結果が「真(1)」になります。
- イメージ: 「A も B もOK」で初めてOK。
- 用途: 複数のセキュリティ条件や、データベースの検索条件(例: 価格が1000円以上 かつ 在庫がある)などで利用されます。
| A | B | A AND B |
| 0 | 0 | 0 |
| 0 | 1 | 0 |
| 1 | 0 | 0 |
| 1 | 1 | 1 |
2. OR演算(論理和):どれか一つを満たす
OR演算は、「AまたはB」という考え方です。入力された条件のどれか一つでも「真(1)」であれば、結果が「真(1)」になります。
- イメージ: 「A か B か どちらかOK」でOK。
- 用途: プログラムで複数の緊急条件を設定する場合や、データベースの検索条件(例: ユーザーが東京在住 または 大阪在住)などで利用されます。
| A | B | A OR B |
| 0 | 0 | 0 |
| 0 | 1 | 1 |
| 1 | 0 | 1 |
| 1 | 1 | 1 |
3. NOT演算(論理否定):真偽を反転させる
NOT演算は、「Aではない」という考え方です。入力された値の真と偽を反転させます。
- イメージ: 入力をひっくり返す「反対」のスイッチ。
- 用途: 「〇〇ではない場合に処理を実行する」といった、条件を否定する際に利用されます。
| A | NOT A |
| 0 | 1 |
| 1 | 0 |
3. 排他的論理和:XOR演算(応用編)
基本の3つに加え、ITパスポートでは「XOR(排他的論理和)」も頻繁に出題されます。
XOR演算は、AとBが異なるときだけ「真(1)」になるという考え方です。
- イメージ: 「どちらか一方だけが真」という排他的な条件。
- 用途: コンピュータのデータ比較や、暗号化技術の基礎として使われます。
| A | B | A XOR B |
| 0 | 0 | 0 (同じ) |
| 0 | 1 | 1 (異なる) |
| 1 | 0 | 1 (異なる) |
| 1 | 1 | 0 (同じ) |
4. 応用知識:論理式とド・モルガンの法則
複雑な論理演算の問題を解くために、以下の知識を応用します。
1. 複雑な論理式の解き方
論理式(例: (A AND B) OR C)は、数学の計算と同じように、括弧の中を最優先で計算します。
- 手順: 括弧内のANDを計算 → その結果とCをORで計算。
2. ド・モルガンの法則
この法則は、論理演算の否定(NOT)を扱う上で非常に重要です。
- 法則1:
NOT (A AND B)は、(NOT A) OR (NOT B)と同じ。- イメージ: ANDをNOTで否定すると、ORとNOTに変わる。
- 法則2:
NOT (A OR B)は、(NOT A) AND (NOT B)と同じ。- イメージ: ORをNOTで否定すると、ANDとNOTに変わる。
この法則を使うことで、複雑で長い否定の論理式を、よりシンプルで解きやすい形に変換できます。
まとめ:論理演算は合格のための最重要基礎
論理演算の知識は、ITパスポートの計算問題だけでなく、プログラミング(条件分岐)やデータベース(検索条件)の基礎にもつながる、最重要知識です。
- AND/OR/NOT/XORの真偽表を完璧に暗記する。
- ド・モルガンの法則を使いこなす
これらのポイントを押さえれば、論理演算に関する問題は、確実にあなたの得点源になります。